お墓の引っ越し 今のお墓から、お骨を別のところに移すことを「改葬」と言います。 以下はお墓の使用者の都合で改葬する場合の説明です。 改葬には、多くの費用と時間がかかります。お金や時間を節約するためにも、知っておかなければならないことは予め充分調べておきましょう。 また、法律を知っていると何かと役立ちます。改葬を決定する前に「墓地、埋葬等に関する法律」(墓埋法)についても一度目を通しておくことをお勧めします。 |
《改葬手続き》 1) 移転先を決める。 |
◎事務的な手続き 下に転載した毎日新聞の”くらしナビ欄”の記事(2008年6月22日)にもあるように、改葬先のお寺が決まったら家族はもちろんですが関係する親族にもきちんと説明して同意を得た上で、今の墓地管理者にも説明してトラブルがないようにしたいものです。 右上の《改葬手続き》はごく一般的なケースです。法律により改葬には改葬許可証が必要です。予め必要となる書類を確認しておきましょう。 勝楽寺では《改葬手続き》の2)にある「移転先の証明書」の書式を、「納骨許可証」という名称で発行しています。許可証には使用者の氏名住所、墓地区画の場所の情報、改葬されるお骨の氏名、死亡年月日、行年など誰がどこに誰を埋葬するのか、ということを特定できる情報を記載致します。ただし、こうした移転先が発行する改葬受入れ書を提出させる自治体は少数で、殆どは改葬許可申請書だけで済みます。反対に、書式まで定めている役所もあります。 ◎改葬許可証とは 人が亡くなると医師が死亡診断書を作成し、それを役場に提出して火葬許可証または火埋葬許可証を発行してもらいます。火葬場では火葬許可証に必要事項を記入して押印し「埋葬許可証」とし、一般的には収骨時に骨壺と一緒に骨箱にその証明書を収め遺族に渡しています。 墓地管理側はこの埋葬許可証(または火葬済証明書などの名称)がなければ納骨させることはできません。改葬元の墓地所在地の自治体はこれに代わるものとして法律により改葬許可証を発行します。 改葬許可証の取得は次の手順で進めます。ただし、各書類の名称は自治体に依り若干の違いがあります。
なお、現在の墓地の経営主体が自治体の場合(市営○○墓地など)、上記手続とは若干異なる場合があります。また、改葬許可証を発行する役所の担当部署も、それぞれの自治体によります。 また、お寺や共同墓地では改葬の経験がないためにこうした手続を知らず、自分で作成した改葬許可証を渡すところもありますのでご注意下さい。
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◎費用 毎日新聞の記事では、都市部への定住を背景にお墓の改葬が増えており、費用は「現在のお墓の撤去、移転先の墓地の使用料、墓地の工事などを合わせて200万〜300万円程度」と書いています。 勝楽寺のケースで考えると、東京都町田市にあって、JRの駅から5分という立地条件のために、墓地の価格は高めです。地上墓(中墓苑)の場合の使用料が300万円で、納骨塔の場合は80万円か180万円です。これにその他の費用がかかるわけです。 お墓の撤去費用 通常、お墓を返す時は更地にして返すことになっていると思います。墓地使用規則など、墓地管理者が発行した墓地の契約や使用に関する書類でご確認下さい。そうした書類が無い場合は、管理者に問い合わせて下さい。更地にして返すというのは、いわば「常識」として記載していない場合も考えられますので、確認しましょう。 更地に戻すための撤去料は、墓石業者によって大きく異なりますので、必ず複数の業者から合い見積りを取りましょう。 墓地によっては、指定業者を使うことが条件になっている場合があります。特に、公園墓地と呼ばれる宗派不問の墓苑は、実際の経営主体が墓石業者である場合も多く、その場合は指定業者以外は使えないことを契約書などに明記していると思いますので確認して下さい。 お寺やお墓のこととなると相手の言い値でお金を払ってしまいがちですが、その金額が適切であるかどうか、可能であれば他の業者からも合い見積もりを取るようにしましょう。そして、指定業者が1社しかない場合は、必ず値下げ交渉をし、場合によっては改葬を取りやめるくらいの態度を示した方が利口です。 新しい墓石の建立費 可能であれば現在の墓石を新しいお墓に移したいものです。しかし、区画の広さや墓石の状態によって移せない事もあります。また、移転先のお寺や墓苑が他からの移設を認めていない場合もあります。さらに自治体経営以外の墓苑では、管理者が宗教法人になっていても、実際には墓石屋が経営しているケースも多く、そのような墓苑では他の墓石屋が入れなかったり、中には建立するお墓の価格自体を例えば100万円以上とか決めている所もあります。 移転に限らず墓地を購入する場合は、永代使用料と墓石にかかる費用、さらに管理料とその他檀家になることによって生じる負担など、将来の分も含めトータルに計算して購入するかどうかを決定する必要があります。 勝楽寺の場合のように檀家になるに当たって費用は掛らず、さらにその後も寄付やお布施の強制がないお寺はごく希です。また、残念なことに、墓石の建立に当たって施主からも業者からも一切金銭を受け取らないお寺も非常に少ないのが現実です。 納骨にかかる費用 石のお墓への納骨に際しては、通常、墓石屋さんを呼んで納骨してもらいますので、その費用がかかります。また、墓地の購入によりお寺の檀家になる場合は開眼や納骨などでお経をあげて貰うのが普通で、その場合お布施が必要です。 合葬墓の多くは納骨料、納骨時の読経料を含んだセット価格になっています。セット価格でない場合は、具体的にどの程度の費用を見込まなければならないのかを予め聞いておきましょう。 納骨堂の場合は墓石業者を呼ぶ必要はありませんが、その他かかる費用は石の場合と同じです。 その他の費用 宗派問わずの場合はともかく、新たにお寺の檀家となる場合は墓地の使用料の他に、その名称はともかく入檀料、年会費など何かと掛かります。(勝楽寺では入檀料も年会費もありません。)また、場合によっては決まった金額の他に寄付を求められる場合もあるでしょう。 記事にもありますが、お寺の墓地を取られて檀家となった場合で、以前と宗派が違う場合、戒名を付け直さなければならないこともあります。勝楽寺では戒名料は取っていませんが、多くのお寺は戒名料を請求します。この点も購入を決める前に必ず確認して下さい。 最後に 現在、石のお墓ばかりでなく納骨壇形式でも永代使用を謳っているお墓があります。そうした納骨壇は、契約時に支払う使用料が高額であるだけでなく、年の管理費等もそれ相応にかかります。石のお墓であろうとこうした納骨堂であろうと、例え現在、購入しようとする人の資力が十分であっても、継承する人の身になって決して見栄を張らないことが大切です。 お墓を探している方には、以下の書籍が参考になります。いずれも六月書房の発行ですが、掲載料をとっていないため、それだけでも信頼度が高く情報量も豊富です。ただし、あくまで墓地側が提供する情報の掲載ですので、内容に変更がないか、他にかかる費用はないかなどご自身でご確認下さい。
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